この時計や、この時計など、
300mを超える防水性を発揮する時計は、
だいたいヘリウムエスケープバルブ
付いています。

さてこれ、なんで付いているんでしょう?

実はヘリウムエスケープバルブが無ければ、
時計が爆発しちゃうそうなんです。

 

僕も疑問を持って、有名時計店を含め、
いくつかのウェブサイトを見て回ったり、
実際にロレックスを扱ってる時計店で、
聞いてみたりしたんですが、
なんかよく分かんない。

ということで、こりゃ自分で、
徹底的に調べようってことで、
調べましたので良かったら御覧ください。

 

目次

飽和潜水って何よ?

ヘリウムエスケープバルブを調べると、
飽和潜水っていうキーワードが出てきます。

この飽和潜水をきちんと理解しないと、
ヘリウムエスケープバルブの必要性が、
わかりませんので、これからまず。

 

ダイビングと聞くと、多くの人が、
スキューバーダイビングを思い浮かべると思います。

 

だけどスキューバーで潜れるのは、
一般的には40mが限界

意外と浅いところしか潜れません。

 

それ以上深いところになると、
送気潜水という方法が取られます。

送気潜水について詳しくは
なぜダイバーズウォッチなのに・・・

を参照してください。

送気潜水は100mぐらいが限界。

 

そして、100m以上潜る場合は、
飽和潜水になります。

 

ダイビングの種類

最大深度 設備
スキューバーダイビング 40m ボンベを背中に背負う
送気潜水 100m 船から空気を送る
飽和潜水 500m ヤバい装備が必要

ちなみに飽和潜水の世界記録が534mなので、
人間はそれ以上潜れません。

 

飽和潜水やばい

潜水のときに問題になるのが減圧症ですが、
あまりにも深いところに潜ると、
徐々に減圧しても間に合わないんですよね。

 

あと深海で空気を吸うと、
空気の主成分である窒素によって、
窒素酔いを起こします。

なので体の中を、空気ではなく、
ヘリウムと酸素の混合ガスで満たすことを、
考えた偉い人がいました。

 

ヘリウムは減圧したとき体から抜けやすいし、
窒素酔いもありません

 

ヘリウムで飽和=飽和潜水

というわけです。

 

では飽和潜水はどうやってやるのでしょうか?

Step1.専用の船を用意

まずは飽和潜水が出来るような、
国家レベルの船を用意します。


海上自衛隊 潜水艦救難艦「ちはや」

加圧室が備わってる船になるので、
日本では海上自衛隊などが所有しています。

そんじょそこらのセレブでは用意できませんね。
前澤さんなら出来るかな?

Step2.船の中の加圧室で4日ほど

船の中ではダイバーは、
タンクと呼ばれる加圧室に入ります。

そこで徐々に圧力を上げるのですが、
一気に上げるとヤバいので、
4日ほどかけて上げていきます。

探査する深海と同じレベルまで、
気圧を上げていきます。

ちなみにタンク内では、
3人~6人居住します。

Step3.タンク内はヘリウム混合ガス

タンク内で呼吸する気体は、
ヘリウム酸素混合ガスになります。

なのでタンク内はみんな変な声(笑)

Step4.ベルと呼ばれる乗り物で深海へ

タンク内、深海と同じ気圧の、
ベルと呼ばれる小型の乗り物で、
深海まで一気に降ります。

ちなみに上の写真は、
COMEX社のベル。

ぴーんと来た人はロレックス通。
※ 後述します。

Step5.目標深度でダイビング

ベルが目標深度まで来たら、
深海に出て作業します。

休憩中はタンク内に戻り、
何日もかけて作業するのが普通です。

Step6.終わったら数日かけて減圧

深海に出ての作業が終わったら、
タンク内で数日かけて減圧し、
元の圧力に戻します。

 

この減圧のときに・・・

時計が割れる!!!

 

ヘリウムが時計に入る問題

先述したとおり、加圧室であるタンク内は、
ヘリウム酸素混合ガスです。

 

もちろんタンク内に、ダイビングスーツや、
機材、時計なども持ち込むわけですが・・・

そのときにヘリウムが、
ダイバーズウォッチの中に入る!

 

なぜならヘリウムは分子が小さいから、
パッキンを通り抜けて入ってくるんです。

 

もちろん加圧室内のヘリウムなので、
高圧のヘリウムが時計に入ります。

その後、時計を通常圧力下に戻したとき、
時計が内圧で割れちゃうんですよね。

 

ダイバーズウォッチでも、
外からの圧力には強くても、
内からの圧力には弱いんですね。

なので、減圧したときに、
ヘリウムが上手に抜けてくれるように、
ヘリウムエスケープバルブが付けられました。

 

最初にヘリウムエスケープバルブを付けたのは?

最初にこの問題に直面したのが、
フランスの民間潜水会社であるCOMEX。

 

んでそのCOMEXに時計を、
提供していたのがROLEX。

COMEXとROLEXでややこしんですが。

 

んで、共同で開発して、
ヘリウムエスケープバルブを付けました。

なので今のサブマリーナーや、
シードゥエラーはCOMEX社と共同開発なんですね。

 

下のはCOMEXのダイバーに、
ROLEXが提供していたサブマリーナー。

 

ダイバーズウォッチといえば、
ロレックスのサブマリーナーですが、
その歴史を考えれば当然かもしれませんね。

 

ロレックスのカリトケでのラインアップ一覧